新谷暁生さん主催の「知床エクスペディション」に参加をしてきました。
知床エクスペディションは、シーカヤックで羅臼からウトロまで、知床半島をぐるっと一周する冒険の旅です。
天候によってはたいへん厳しくなる知床の海を行くため、途中の浜でキャンプをしながら約一週間かけて海を漕いで行きます。
初心者から参加可能という事ですが、すべておまかせの旅行ツアーでは無いので、各自がチームの一員として機能し、自分で全行程を漕ぎ切る体力や精神力も必要です。
今回は、7月16日から22日までの2022年 第4回目のエクスペディションに参加しました。
名古屋から女満別までの飛行機の関係で、僕は前日の15日に女満別入りしてから、翌日の16日に集合場所の女満別空港で合流しました。この記事では、15日と16日の内容となっています。
知床エクスペディション公式ページはこちら-> https://blog.goo.ne.jp/shiretokoexp
7月15日(金)中部空港〜女満別空港〜女満別
天気:名古屋 雨 女満別 曇り
中部国際空港から午後の便で女満別に発つ予定ですが、天候が悪いので、搭乗する飛行機の到着が遅れています。
予定通りの2時間半ほどの飛行時間でしたが、出発の遅れから女満別空港には予定より30分遅れて16時30分ごろに到着しました。
今日は女満別空港でスーツケースをコインロッカーに預けJRで女満別まで移動して温泉に泊まるのですが、JRの発車時刻16時59分までに間に合わせるにはかなり急がなくてはなりません。
JRの駅までは徒歩で20分位のところにあり、1時間半に1本しかない汽車(電化されていない)を逃すとヤバい状況です。
ところが、コインロッカーに預けるための小銭が足りない、、、コンビニで両替しようとしたら、両替は受け付けてくれない、仕方がないから水を買ってお釣りを握りしめてコインロッカーまで行くと、水を買っちゃったから100円足りない。
慌てているとこういうアホなミスも出てくる。
もう一回、水を買いに行って、とかやっているうちに、時間はどんどん消費されてしまった。
空港に近いJRの駅は西女満別駅で、隣の駅が女満別駅になります。
汽車に乗り遅れて、宿泊予定の女満別まで歩いて行くのは、とても嫌なので、駅まで猛ダッシュで走りました。汗だくで駅に着くとギリギリの時間でしたが汽車はまだ来ておらずなんとか間に合った模様。
定刻になっても汽車は来ません。3分たってもまだ来ない、5分たってもまだ来ない。
写真などをいろいろ撮っているうちにしばらくすると汽車がやってきました。
およそ5キロほどの距離を汽車に乗って女満別駅に着くと、駅舎は立派な建物(図書館とカフェが併設)ではありますが無人駅でした。
汽車が駅に停まっている間、降りた人たちは汽車の前をゆっくりと歩いて線路を渡って行きます。その間は汽車は発車せずに、全員が渡り終わるのを待ってくれていました。
なるほど、西女満別の駅で遅れて到着したのはこういう事情もあるんだなと納得。そしてなんだか時間の流れ方が大らかだと、妙に嬉しく感じてしまいました。
駅からは今晩の宿泊予定の温泉旅館まで徒歩で移動しました。天気が良いので思いのほか暑くて、歩くのは大変でしたが、宿に着いて温泉に入るとさっぱりしました。
宿の近くにあるセイコーマートまでは、おおよそ500メートルくらいあります。夕食後に散歩がてらセイコーマートまで歩いて行って、ビールとおつまみを買って戻り、部屋で一杯やってから寝ました。
7月16日(土曜日)女満別〜網走〜女満別空港〜相泊
天気:晴れのち曇り
朝食を食べてからすぐにチェックアウト。
網走湖のキャンプ場に寄り道してからJR駅まで歩き、今度は網走までJRで移動しました。
集合時間までかなり時間があるので、暇つぶしに昨年からやり始めた“ジオキャッシング“のキャッシュを取りに網走監獄の入り口まで行くためです。
網走駅を降りてから、定期バスに乗って、天都山入口で下車。そこから徒歩で網走監獄まで向かいました。
網走監獄の入り口付近にあるキャッシュをゲットしてからは、ジョグで女満別駅まで戻ることにしました。(網走監獄は営業時間外)
背負っているリュックはブロンプトン用でランニング向けではなく、フレームが背中に当たってちょっと痛い。それに荷物が重くて揺れるので走りづらかった。
それなりに一生懸命走ったのですが、網走湖を通り過ぎた位で嫌になってきて、予定の半分くらいの距離の呼人駅でやめることにしました。
定期バスもJRと同じように本数は少なかったのですが、20分ほど待てば乗れそうだったので、呼人駅のバス停から定期バスに乗って女満別空港まで直行しました。
空港に到着しても、集合時間までは余裕がたっぷりありましたので、リュックをコインロッカーに預けて空港の周りをランニングしてみようと思いました。
500ミリのペットボトルに入った水を持って空港を左回りで一周してみます。
はるか向こうまで建物も見えず、ずうっとジャガイモ畑が続いていて、北海道っぽい感じがします。
距離がどれだけあるのか分かりませんが、時間はあるので、途中で自撮りしたりしながらボチボチ走って行きます。
予想通りではありましたが自販機やお店どころか建物すらほとんど無くて、本当に畑の中をずっと走るとジョグでした。
景色は遠くまで見渡せるし、空港に離発着する飛行機も見ることができて、とても楽しいジョグタイム。天気は薄曇りだったので、暑すぎる事もなく、水分も500ミリの水1本でギリギリもつ感じで走りきることができました。(晴天だったらヤバかったかも。)
走り終えてガーミンのログを見ると、9キロほどの距離でした。
汗だくになっていたのでTシャツだけを軽く洗って、硬くしぼり、そのままもう一度着て乾かします。
売店で地ビールを1本買って飲んだらめちゃめちゃうまかった。
飛行機の発着を見ながら風に吹かれていると、シャツも乾いてきてスッキリしてきました。
集合時間に近くなってきたので、コインロッカーからリュックとスーツケースを取り出して、空港の入り口でスーツケースの上に座って待っていました。
しばらくすると、パッと見てわかる、オレンジ色と黄色のカヤックを屋根に積んだハイエースが入ってきて、駆けつけてみると、やっぱり新谷さんが運転していました。
車から降りると、『どもども!』と低い声で言いながら軽く挨拶をして、荷物を積んだり他の参加者を迎えたりと忙しくしていました。
そして、参加可否を決めるための抗原検査を実施します。
抗原検査は鼻の穴に細い綿棒みたいなのを突っ込むんですが、「ずっと奥に突っ込んで、隣の鼻の穴から出てくるくらいの勢いで、そんな感じで突っ込んでくれ」って言われるので、何を勘違いしたか「なかなか隣の鼻の穴には出ませんよ」とか言いながら血を滲ませていた人もいました。
そんなやりとりもあり、集まった参加者全員の抗原検査は陰性と言うことで問題なく参加ができることになりました。
ところが、あと1名が全然来ない。空港内で放送かけてもらっても現れない。電話しても出ない。
アシスタントのゆきえさんが、どうしようどうしようって言いながら、「新谷さんは先に行ってて、私が探すから」なんて言ってたんですけども、じゃあもう、みんなで手分けして探そうと言うことになって、空港の中に入って、○○さぁ〜んと大きな声を出しましたら、『ハイ!』と立ち上がってすぐ見つかっちゃいました。
座っていれば迎えに来てもらえると思っていたらしくて、なんだか噛み合わない感じではありました。
それでも全員揃ったので、女満別から羅臼の相泊まで移動します。
ここからは結構な距離があるのですが、ニセコから走ってきた新谷さんがそのまま運転しています。すごいです。
最後に遅れてきた参加者の人は、ほとんど乗ったことがなくて怖いと言うような話をず〜っとしていて、助けてくれよとか、とにかくしつこい。それならどうして参加しにきたのかと言う話なんですけど、、、。
そんな感じで網走を経由してウトロの方まで行きまして、ウトロでは一旦車を止めて着艇でお世話になる方に挨拶をしました。こういう地元の方々の理解のおかげで成り立っているのです。
それから今度は、知床半島を縦断するために知床峠まで上り、更に下って羅臼側へ移動します。
羅臼でもまた、お世話になる方々に新物のトマトとバジルを渡しながら挨拶まわりをして行きます。こういう気配りと人脈のおかげで知床エクスペディションは地元の方に理解され、そして成り立っているんですね。本当に感謝しかありません。
最後に近くのドラッグストアで買い物(ビール)をしてから相泊まで行きました。
この時点で明日の天気は、「風もあるし波もあるので海には出られない」と言うことで、既に翌日(17日)の停滞が決定してしまいました。
相泊では、まんさんと言う漁師の方からお借りしている番屋で1泊する予定でしたが、2泊することに決まりです。
番屋の周辺では、もうすでにヒグマが出没するところなので、なるべく1人で出歩かないように、そして、キツネはなんでも持っていってしまうので注意するようにと、お達しがありました。
日没直後くらいには、鹿が近くまでやってきました。
夕食は新谷さんが焚き火で晩御飯を作ってくれます。食べる前にはもうワインバーも始まっていて、ワインを飲みながらの夕食となります。
しばらくすると雨も降ってきてしまったので番屋の中でご飯を食べながらお酒を飲みながらということになりました。
番屋からおおよそ900メートルくらい羅臼方面に行ったところに、相泊温泉と言う無料の温泉があると聞いて、歩いて温泉に行きました。
相泊温泉は、地元の方が管理していて誰でも無料で入ることができる温泉です。
道路脇にある階段を使って浜に降りると、ブルーシートと単管を使って作られた小屋が見えます。
小屋は海に向かって、開放的に作られていて、手前が男湯、奥が女湯となっています。
屋根があるので雨はしのげますが、海からの風は避けられません。
中には湯船と着替えを置く棚があるだけ。あとは洗面器が3個有りました。
湯船はコンクリートの囲いで作られていて、お尻を下に着けると沈んでしまうほどの深さでした。
とても熱いお湯で、水で薄めないと入っていられないほど。(地元の方は水では薄めないそうです。)
下は砂利で、底からお湯が湧いてきているようです。
湯船の中には、大きめの石が置いてあったので、それに座ってゆっくりと海を眺めながら入ることができました。
長旅?で疲れた体をリフレッシュできる、ものすごくいいお湯でした。
お風呂から上がって歩き始めましたら、霧雨からシトシト雨に変わってしまい、ずぶ濡れになりながら番屋まで戻りました。それからまた酒盛りして、それぞれのシュラフで皆さん寝ることになりました。