スマホが圏外でも大丈夫!衛星通信の GARMIN inReach で、メッセージのやり取りと位置情報を共有する

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登山やカヤックなどのアウトドア・アクティビティでは、スマホが圏外になっているというケースは多いですよね。

以前、上高地から涸沢カールまで一泊で遊びに行ったときは、スマホがほとんど圏外でした。
そのため、スマホの位置情報が登山道の途中で止まったままになっていて、家族から心配されてしまいました。(転落して死んだと思ったらしい)

実際、そう簡単には死なないとは思いますけど、心配してくれる家族がいるので、スマホが圏外でも何かしらの連絡手段は確保したいと思いました。

そこで今回は、衛星通信を使ったメッセージのやり取りができる GARMIN の inReach 技術を使ったトレッキング用GPSの GPSMAP 66i を購入して、メッセージ交換と位置情報の共有をしてみました。

※この情報は2021年7月時点のものです。


目次

GARMIN inReach とは

inReach とは、簡単に言ってしまうと、

イリジウム衛星ネットワークを利用して、テキストの電子メールの送受信ができる

というものです。

通信衛星は宇宙空間に66機も配置されているので、上空の見える場所であれば、ほぼどこでも通信が可能です。

では、inReach では具体的にどのような事ができるのでしょうか。

(1)テキストメッセージの送受信

GPS端末または、GPS端末と連携したスマホのアプリ(Garmin Explore App)からメッセージの送受信ができます。

スマホアプリと連携しておくと便利に使えます。

メッセージにはテキストメッセージとプリセットメッセージの2種類があります。

テキストメッセージ

160文字までの自由な文字列(英数字推奨)が送受信できます。
送信する場合、あらかじめテンプレートとしてクイックテキストを設定しておくことができるので、端末で文字を入力する手間を省くこともできます。連携しているスマホのアプリを使うことも可能です。

サブスクリプション契約によって、無料で送受信できるメッセージ件数が決められているので、
契約のメッセージ件数を超えると、一件ごとに追加で料金が課金されるようになります。

プリセットメッセージ(送信のみ)

インターネット上のEXPLOREサイトで、自分で設定しておいたメッセージを送信することができます。
メッセージは3種類まで設定が可能です。
送信するときには、プリセットされたメッセージを選んで送信するだけなので簡単な操作で送信できます。

プリセットメッセージの送信件数は無制限に送信できます。


(2)位置情報の共有

GSP端末の現在位置を衛星通信を使って共有するこが可能です。
送信された位置情報は専用のウェブサイトから閲覧することができます。

位置情報を送信するタイミングは以下のとおりです。

  • ライブトラック(Live Track)がオンのときに、設定した時間間隔で自動的に位置情報を送信する
  • テキストメッセージ・プリセットメッセージの送信時に位置情報を含めて送信する
  • メッセージ画面から位置情報だけを送信する

サブスクリプション契約によって、位置情報の送信には追加料金が必要になる場合があります。


(3)天気情報の取得

現時点(2021年7月)ではまだサービス開始されていないようです。


(4)SOSの発信

GPS端末に備わっているSOSボタンを押すか、連携しているスマホアプリからSOSの操作を実施すると、衛星通信を使って24時間体制の監視センター(GEOS)に位置情報付きのSOSメッセージを送信します。

GEOSとのメッセージのやり取りによって、救助が必要と判断された場合、最寄りの救助組織に連絡されます。
日本の場合には、公的機関に救助要請がされるようです。
 山の場合:警察・消防・民間救助隊など
 海の場合:海上保安庁など


inReach 搭載機種

この記事の執筆時点でのinReach機能を搭載した機種は、GPSMAP 66i , inReach Mini , inReach Explorer の3機種ありました。

そのうち、中間くらいの値段の inReach Explorer は、機能が中途半端なのでおススメしません。

ここでは、GPSMAP 66i , inReach Mini を紹介します。


GPSMAP 66i

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ガーミン(GARMIN)
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ハンディGPSの最高峰機種です。
双方向の衛星通信に加えて以下の機能があります。
・カラー表示の大画面
・日本詳細地形図2500/25000を標準搭載
・標準使用時で最大35時間、エクスペディションモードで最大200時間稼働
・トラックバックモード

スマホが壊れて使えないときでも、この頑丈なGPSがあれば道迷いも防げるでしょう。
ソロ登山やグループには必ず持っておきたい装備です。


inReach Mini

衛星通信に機能を絞った機種です。
GPSMAP同様にスマホと連携もできるので、割り切ってこの機種にしても良いと思います。
バッテリーは最長50時間


使用料金

inReach技術を使った衛星通信を利用するためには、サブスクリプション契約が必要になります

個人の場合は、以下の3つのプランから選ぶことになります。

  セーフティ レクリエーション エクスペディション
SOS 無制限 無制限 無制限
テキストメッセージ ※1 10件 / 月 40件 / 月 無制限
プリセットメッセージ 無制限 無制限 無制限
ライブトラック
(1トラックあたり)
$0.10 / 1回 無制限 無制限
位置情報発信 $0.10 / 1回 無制限 無制限
料金
年間契約(契約時) $29.95 $29.95 $29.95
年間契約(月額) $11.95 $24.95 $49.95
自由契約(年一回) $34.95 $34.95 $34.95
自由契約(月額) $14.95 $34.95 $64.95
※1
テキストメッセージ超過分のチャージ(1送信または受信ごと)
$0.50 $0.50

年間契約は、通年で毎月の請求が発生しますが、自由契約は使わない期間(30日ごと)は停止することができるので停止中の費用は発生しないという違いがあります。

レクリエーションプランを年間契約にした場合は、以下のような試算になります。

1年目  $29.95 + ( $24.95 × 12か月)= $329.35
2年目以降  $24.95 × 12か月)= $299.4

自由契約の場合は、年ごとに契約月に年間費用が発生しますので、以下のようになります。
(年に8か月利用したとして)

毎年  $34.95 + ( $34.95 × 利用月数(8か月) )= $314.55


※途中でキャンセルしたときの費用
年間契約の場合:当初の1年間が経過する前にキャンセルするときは、残りの月数*月額を解除手数料として支払います。当初の1年間が経過してからはキャンセルにおける追加費用はかかりません。
自由契約の場合:キャンセルにおける追加費用はかかりません。

自由契約にした場合の損益分岐点としては、1年目の場合は8か月間以下の利用、2年目以降は7か月以下の利用に抑える必要があります。


どのプランに契約するか?

この記事を読まれている方は、おそらくセーフティかレクリエーションかで悩まれることと思います。

月額料金で比較すると、年間契約の場合は $13.0 の差額、自由契約の場合は $20.0 の差額があります。

両契約で大きく違うところは、テキストメッセージ位置情報発信ライブトラックですので、それぞれ考えてみましょう。


テキストメッセージ

テキストメッセージは、月間で使用できるメッセージ件数を超えるテキストメッセージごとに $0.50 が加算されます。これは、送信、受信それぞれを合計してカウントされます。
プリセットメッセージ(無制限)で代用するように心がけておけば、セーフティ契約でもテキストメッセージの追加料金はあまり考慮する必要はないかと推測します。



位置情報発信

プリセットメッセージを送信すると付加することができるので、セーフティプランの場合はプリセットメッセージで代用しましょう。



ライブトラック(Live Track)

一番悩ましいのはこの機能です。この機能だけで考えてもいいと思います。
ライブトラック(Live Track)がオンのときに、設定した時間間隔で自動的に位置情報を送信するのですが、セーフティプランですと、これが一回ごとに $0.10 の追加料金となります。

送信する間隔は、デバイスで 10分 20分 30分 1時間 2時間 4時間 のどれかに設定します。
この時間間隔ごとにトラックを送信しますので、たとえば 5時間 のアクティビティで送信間隔を 10分 に設定すると、約30回のトラックを送信するので $0.10 × 30回 = $3.00 の追加料金が発生します。

月ごとの損益分岐点としては以下のようになります。

  年間契約($13) 自由契約($20)
損益分岐点となる送信回数 130回 200回
10分間隔の場合のアクティビティ時間 21.6時間 (10分×130回÷時間) 33.3時間 (10分×200回÷時間)
20分間隔の場合のアクティビティ時間 43.3時間 (20分×130回÷時間) 66.6時間 (20分×200回÷時間)


私が契約したのは セーフティプラン(Safety) の年間契約です。

月に20時間以上活動することは殆どありませんし、プリセットメッセージを位置情報付きで送信すれば現在地を家族と共有することは可能です。

しばらく使って様子を見たいと思います。

レクリエーションプランにアップグレードする場合には追加料金も発生しないようです。(逆にダウングレードは追加料金が発生する)


衛星通信(inReach)の利用開始手順

上記で紹介したGARMINデバイスを購入してから、inReach機能を使うには、サブスクリプション契約をする必要があります。
(サブスクリプション契約をしないと衛星通信はできません。)

以下では GPSMAP 66i でのサブスクリプション契約と開通までの手順を説明します。

(1)GPSMAP 66iを起動して、「inReach通信機能を利用するにはデバイスの有効化が必要です」の画面が出たら、「有効化」を選んで「実行」ボタンを押します。



(2)GPSMAP 66iの画面に explore.garmin.com でデバイスを有効化してくださいという画面が表示されます。



(3)さらに「実行」ボタンを押して、下の写真の画面を表示させます。
この画面表示がでたら、いったん GPSMAP 66i は置いてパソコンに向います。



(4)パソコンで GARMIN EXPLORE サイトにアクセスします。



(5)GARMINのアカウントがすでにあれば、サインイン なければ 新規作成 をします。



(6)「新しいinReachアカウント」をクリックします。



(7)「個人用プランを選択」をクリックします。



(8)装置のIMEI番号や認証コードを入力する画面が表示されるので、(3)で表示した GPSMAP 66i の画面の内容を見ながら入力します。



(9)「次へ」ボタンを押して、ユーザー情報、緊急連絡先やサービスプランなど画面の指示に従って入力していきます。



(10)請求情報や支払情報などを入れると、最後に「有効になりました」と表示されます。



(11)GPSMAP 66i を持って、上空の開けた場所に行って、「実行」ボタンを押します。
ステップ3画面が表示されて衛星と接続して開通処理が行われます。



(12)数分間(かなり長い)待つと「有効化完了」と表示されます。
これで完成です!


位置情報の共有

追加料金が発生しないプリセットメッセージに位置情報を付けて送信することで、現在の位置情報を共有してみます。

(1)パソコンから GARMIN EXPLORE サイトにアクセスして、ログインした後で「ソーシャル」画面に進みます。

(2)「MapShare:オフ」をクリックして、「MapShare:オン」にします。

(3)「MapShareの設定」をクリックしてパスワードを設定しておきます。

(4)「メッセージ」画面に移動します。

(5)プリセットメッセージのメッセージ1にある「編集」ボタンを押して、受信者欄に任意のメールアドレスを入力して、MapShareにチェックを入れたら、「OK」ボタンを押して保存します。

(6)GARMIN CONNECT を使って、GPSMAP 66i と同期します。

(7)GPSMAP 66i を持って、上空の開けた場所に行き、GPSMAP 66i のメニューにある「メッセージ」を選んで「実行」ボタンを押します。

(8)「プリセット送信」を選んで「実行」ボタンを押します。

(9)送信するメッセージを選んで「実行」ボタンを押します。

(10)さらに「プリセット送信」が表示されるので「実行」ボタンを押します。

(11)しばらく(数分かかる)するとメールが送信されて本体のアラームが鳴ります。

(12)GPSMAP 66i から送信されたメールを確認すると、以下のような内容となっています。

I’m here now(プリセットメッセージ)
位置情報を確認するか、NNNNNさんに返信してください:
https://(位置情報を閲覧できるURL)
NNNNNさんが次の場所からメッセージを送信しました:Lat 99.999999 Lon 199.999999
このメッセージに直接返信しないでください。
このメッセージは、GPS搭載のinReach双方向衛星通信機を使用して送信されました。 詳細については、http://explore.garmin.com/inreachを参照してください。

(13)メールで送られてきた位置情報を閲覧できるURLにアクセスすると、パスワードを要求されるので、(3)で設定したパスワードを入力すると、先ほどプリセットメッセージを送信した場所が地図に表示されます。


まとめ

スマホ圏外でも通信ができて、位置情報が共有できるという inReach システム。

ソロ登山では絶対に持ってほしいアイテムですね。

北アルプスの山岳ガイドさんからは、必ず持つようにと勧められました。

GPSMAP 66i であれば トラックバック機能があるので、道迷いしたときでも、来た道をルート案内してもらえますから、遭難のリスクがぐっと下がると思います。

もし、事故などで動けなくなったとしても、SOSでの救助要請や、位置情報の共有機能を使って外部と連絡が取れるのは本当に頼りになるのでは無いでしょうか。

初期費用と月額費用はかかるものの、地球上で上空さえ見えれば必ず繋がるという安心感を考えれば、この inReach システムはかなりリーズナブルで、外遊び大好きな私にとって、待ちに待っていたアイテムでした。



以上、「スマホが圏外でも大丈夫!衛星通信の GARMIN inReach で、メッセージのやり取りと位置情報を共有する」でした。

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