夏山登山のシーズンも終わり、いよいよ冬山のシーズンですね。
去年は、冬はジョギングでしたが、今シーズンから冬山にもチャレンジしようと思っています。
登山は、樹林帯を歩く、尾根を歩く、緩やかな坂を上る、急登、下降、立ち止まって休憩、などの状況によって運動量が変わるスポーツです。
急な登りであれば、息も上がって汗をかくし、止まれば出た汗が乾くことによる冷えや、風雪によって体温を奪われる事もありますよね。
夏でもそうですが、冬山は特に低体温症(ハイポサーミア)に対する対策をしっかりして臨みたいですね。
そこで今回は、冬山に登るときのレイヤリングについて考えてみたいと思います。
低体温症(ハイポサーミア)とは
普段の生活ではあまり耳にする機会がありませんが、アウトドアで遊ぶ場合、低体温症(ハイポサーミア)には注意して遊ぶことが重要です。
体が濡れた状態(例:汗をかいた状態)で冷気にあたると体が冷やされます。水が人間の体温を奪う速度は、空気の約25倍の速度がありますので、寒い場所で汗をかいたまま立ち止まっていると、いっきに体温を奪われます。
低体温症(ハイポサーミア)とは、そのように体を冷やしてしまって、身体深部の体温(深部体温)までも下げてしまった状態のことです。
人間の深部体温は正常時で38℃くらいですが、深部体温が低下して35℃以下になると、身体の正常な機能が維持できない状態になります。
深部体温が低くなると、脳や心臓など生命を維持している臓器の機能が低下して、重度になれば「凍死」につながります。深部体温が32~35℃は軽症、28~32℃は中等症、20~28℃は重症と分類され、中等症以上では死亡率が40%になります。
軽症でも精神錯乱状態に陥ることがありますので、舐めてはいけません。
登山で低体温症(ハイポサーミア)を起こす要因としては、
(1)かいた汗が発散処理されず、ラジエーターのように体を冷やす。
(2)冷たい風雨、吹雪などに晒される事で体温を奪われる。
(冷気に晒された衣類の内部で水蒸気が結露して体を冷やす。)
が、考えられます。
この事から、
(1)体から水分(汗)を素早く取り除く。
(2)重ね着をして水分を外側のウェアに発散させる。
のようなウェアリングをすると良いと考えられます。
レイヤリング
天候や運動量に応じてウェアを脱ぎ着することで、ウェア内の温湿度を快適に保ち、発汗による不快感や体の冷えを防いで快適な状態を作り出します。
基本としてベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤー の三層からなりますが、すべてのレイヤーを常に着るわけではなく、天候や運動量に応じてベースだけ、ベース+ミドルだけ、ベース+ミドルの重ね着、というように使い分けます。
ベースレイヤーは行動中は脱ぎませんので、天候や運動量に合わせて選択して着用します。
行動中はミドルレイヤーで調整を行います。
暑ければミドル・アウターとも着ずにベースレイヤーだけで行動して、寒くなる前にミドルを上に重ね着していきます。ミドルレイヤーは選択肢がたくさんありますので、自身に合わせて選択する事が重要です。
ドライレイヤー
近年は、3つのレイヤーに加えて、ドライレイヤーという、撥水加工されたメッシュのシャツを着ることが主流になってきています。
撥水加工されたメッシュが汗を肌から吸い上げて、外側に着たベースレイヤーにすばやく発散される構造になっています。
ドライレイヤーといえば、ミレーかファイントラックが有名ですが好みは分かれると思います。
アミアミの下着を着たままの姿は、人には見せられませんが、一度着たら手放せなくなる一品でございます。
私は秋以降はミレーのメッシュシャツを絶賛愛用しております。w
ベースレイヤー
氷点下でも樹林帯など風の影響を受けない場合は、登山中は汗をかく場合があります。
(汗をかかないようにすることが一番大切です。そのためには心拍数を上げすぎない。)
氷点下でも保温できて、汗冷えをできる限り防ぐためには、濡れても温かいウールが基本になります。
なかでもメリノウールのベースレイヤーがおすすめです。
中厚手か厚手のものを選びます。
最近では化繊とメリノウールを混合して、肌触りをよくしたり、洗濯なども扱いやすくなっていますので気軽に選択できます。
ドライレイヤーの上にベースレイヤーを重ね着します。
綿素材のものや、ヒートテックはやめましょう。
※綿・ヒートテックとも、汗をかいてしまうと速乾性がないので汗冷えの原因になります。
ミドルレイヤー
温度調節は主にミドルレイヤーで行います。
行動中は汗をかかないようにするため、ミドルレイヤーは着ずにドライ+ベースレイヤーのみという場合もあります。
寒ければ、上にミドルレイヤーを重ね着します。
必要に応じて、その上にまたミドルレイヤーを重ね着することで、間に空気の層ができて保温することができます。
トップスは基本的に、厚手の化繊シャツを重ね着して対応すればよいでしょう。
例:パタゴニアのキャプリーンミッドウェイト
ベースレイヤーの上に、キャプリーンミッドウェイト のクルーを重ね着して、寒かったらさらにジップネックを重ね着するなど、上に重ねていきます。
さらに寒い!ということであれば、撥水ジャケットやフリース、化繊の中綿ジャケットを使います。
アウターレイヤー
レインウェアのような防水性、透湿性に加えて、防風性を重視してデザインされているものを選びます。
滑落時に摩擦が生じるように、ザラザラした表面の生地を使用ています。
以上、「冬山のレイヤリング 登山で低体温症(ハイポサーミア)にならないために」でした。