シーカヤックの場合、沈脱(転覆してカヤックのコックピットから脱出すること)すると間違いなく必要になるのは、足のつかない場所での再乗艇(もう一度カヤックに乗り込むこと)のスキルです。これは、川と違って、海や湖ではすぐに岸にあがって再乗艇するという事ができない場面がほとんどであるからです。
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転覆
沈脱した後の再乗艇には、様々な方法があります。
複数人でツーリングしている時ならば、仲間にレスキューしてもらう方法が良いでしょう。(グループレスキュー)
運悪く、ソロで沖に出ていた場合は、自力で再乗艇をする必要があります。この場合は、以下の方法が考えられるでしょう。
それぞれの方法について検討してみましょう。
道具を使わず、自力で這い上がる。
シーカヤックの側面から、勢いをつけて水面から飛び出し、そのままカヤックに乗り込みます。この方法は、海面が穏やかで波も無く、安定度の高いカヤックであれば、なんとか這い上がることができるかもしれません。お腹が出ていると非常に難易度が上がります。
カヤックの後部から馬乗りになって這い上がる。
カヤックの後部から、これも勢いをつけてカヤックに馬乗りになって這い上がります。この方法も運動神経と訓練が必要で、成功率は場合によると思われます。緊張感のある状況で試すには、どうかと思います。
リ・エントリーロール。
リ・エントリーロールは、ロールが出来て、なおかつ、水の入った不安定なカヤックでもロールが出来るほどの技術が必要です。また、ロールが成功したとしても、水の入った状態のカヤックは不安定ですから、荒れた状況ではすぐにまた転覆してしまうかも知れません。
パドルフロートを用いたアウトリガー式再乗艇
パドルフロートを用いた再乗艇は、練習をすれば誰でも出来るようになるお勧めの再乗艇の方法です。しかし、パドルフロートの浮力が、体重と艇の形状にマッチしたものでなければ、再乗艇は極端に難しくなります。現に私は体重が90キロあり、フォームタイプのパドルフロートでは、静水で何度も練習したけれど再乗艇することが出来ませんでした。
パドルフロートについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
パドルフロートを用いたリ・エントリーロール。
最後に、パドルフロートを用いた、リ・エントリーロールです。これはある程度のパドリングスキルを持ったパドラーであれば、練習をしておけば、確実性の高い再乗艇となるそうです。ロールに成功した後も、パドルフロートの付いたパドルで船を安定させておいて排水をすることも可能でしょう。
ソロでの再乗艇まとめ
上記に紹介した方法は、どれも練習が必要で、ある日、沈脱をして、いきなり成功する方法は無いでしょう。偶然うまく出来た、とか、元々素晴らしい運動神経を持ち合わせていた、という特殊な場合もあるかも知れませんが。
また、沈脱して再乗艇をするのには、想像以上に体力を消耗します。一度、再乗艇をした直後では、体力が回復せずに、次はうまくいかないという事もあるのです。何度も練習をして、再乗艇はこんなにも体力を消耗するものなんだと、自覚しておいた方が良いでしょう。
そして、再乗艇をした後にコックピットの排水をするためのビルジポンプは絶対に携行してください。
ビルジポンプについて詳しくは以下の記事で紹介しています。
再乗艇が成功した後は?
再乗艇が成功した後もパドリングを続行するためには、もう一つ考えなくてはならない事があります。そもそも、どうして沈脱をしたのか?という事です。
海面が穏やかなときに、単なるミスでたまたま沈(転覆)したのか? 自分のパドリングスキルが海況に対応できなくて沈したのか?この違いは大きい。
自分のパドリングスキルが海況に対応できてない場合は、再乗艇がうまくいったとしても、またすぐに沈する事になってしまうでしょう。 そのままパドリングをつづけるか、もう一度沈しないような対策をするか、決定しなければなりません。 パドリングを続ける場合は、再び沈してしまわないように、その海況から早急に抜け出すか、カヤックを安定させる必要があります。
心配のある場合は、シーウィングという、空気で膨らませてカヤックを安定させる道具もあります。そういった装備をするのも安全対策となるでしょう。
危険な海況から離れる事もできず、もう復帰できなくなってしまった場合は、次は118などの第三者による助けが必要になるでしょう。その時に必要なものは、防水パックに入れた携帯電話や、日本版のPLBです。
PLBについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
シーカヤックでの悲しい事故がたびたび起きていますが、海上保安庁の方の話によりますと、携帯電話を身につけていなかった とか、防水の携帯電話でも水没していたという話を耳にします。防水携帯電話でも必ず防水パックに入れて身につけておきましょう。
最後に、シーカヤックで海や湖に出る前に、一度でも沈脱と再乗艇の練習をする事をお勧めすします。また、ベテランであっても、パドルフロートの携行は必須だと思います。
以上、「シーカヤックで沈(転覆)した後の再乗艇を考える」でした。
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